【本紹介】諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉 為末大

こんにちは!
西優ゼミナールの河合です。

久しぶりに本紹介させてください!

本日の本

こちらです。

諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉 為末大

為末さんといえば中高生の皆さんはあまり知らないかもしれませんが、スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得された陸上選手です。

日本人は体格的に不利とされる陸上のスプリント競技で2001年、2005年の世界選手権で400mハードルにおいて銅メダルを獲得されました。

陸上に詳しくない私でも昔から為末さんは知っていました。

本自体は2013年出版なので少し前にはなりますが、10年経ったこの2023年でも読むべき一冊と感じました。

それではみていきましょう。

私がこの本を選んだ理由

たまたま私のKindleのライブラリの中に眠っていた一冊で、読みかけていた本でどうせだから最初から読み直そうと思いました。

私もスポーツをしていた身としてアスリートの方々が書かれた本は結構好きなんですよね。

そして内容の多くに共感できました。

そうそう、そうなんだよと読みながら何度も心の中で頷きました。

内容紹介

いやぁ、読んでください。

もうそれで全てわかると思います。

書きたい内容が多いので、本当に伝えたい部分だけ紹介します。

著者の為末さんが諦めたこと

為末さんは8歳から陸上を始め、中学生の頃から短距離(100mから400m)を中心にメキメキと頭角を現していきました。

中学3年生の全中では優勝し、高校でも良い成績を残して順風満帆と思われました。

しかし、自身の身体の成長が止まり、記録も伸び悩んできたことに気づきました。

他の選手とあった差がこのままいくと縮み、いずれ追い越されるのではないかと分析しました。

さらに、世界大会で日本の選手が100m走では全く歯が立たないということを突きつけられた為末さんは「100mでトップに立つのは無理かもしれない」と思ったそうです。

競技としては違うが、メダルを取れば一緒という気持ちで競技としてはマイナーになる400mハードルへの転向を決意しました。

これが為末さんにとっての諦めでした。

葛藤との戦い

為末さんは400mハードルへ転向してすぐは100mを諦めてしまっていいのかという葛藤に襲われていました。

しかし、いつしか「100mを諦めたのではなく、100mは自分に合わなかった」とポジティブに捉えるようになっていきました。

あくまで手段を変えただけで、陸上で勝つという目的には変わりないと考え、自分の中で100mに転向したことに腑に落ちていきました。

本文での名言紹介

ここからは本誌の内容をそのまま紹介します。

正直私の説明は不要かと思います。

世の中には 、自分の努力次第で手の届く範囲がある。その一方で、どんなに努力しても及ばない、手の届かない範囲がある。努力することで進める方向というのは、自分の能力に見合った方向なのだ。

ハードルを全力で飛ぶと、自分で思っているよりももっと高く飛べるんだということもわかるし、今の自分では飛べない高さがあることもわかる。人間は本気で挑んだときに、自分の範囲を知る。手加減して飛べば本当はどのくらい飛べたのかがわからない。だからいつも全力でやってほしいと子どもたちに言っている。全力で試してみた経験が少ない人は、「自分ができる範囲 」について体感値がない。ありえない目標を掲げて自信を失ったり、低すぎる目標ばかりを立てて成長できなかったりしがちである。転ぶことや失敗を怖れて全力で挑むことを避けてきた人は、この自分の範囲に対してのセンスを欠きがちで、僕はそれこそが一番のリスクだと思っている 。

人間が何かを選択するときに悩むのは、何を選んでいいかわからないからではない。自分にとってより大切なことが何なのか、判断がつかないから悩むのだ。

人は場に染まる。天才をのぞき、普通の人がトップレベルにいくにはトップレベルにたくさん触れることで、そこで常識とされることに自分が染まってしまうのが一番早い。

今いるところが最高で、そこから下がればマイナスと考えると 、現状にしがみつくことになる。それは結果的に行動や思考を萎縮させることにつながる。今を守ろうとして今も守れないという状況だ。成功という執着や今という執着から離れることで、人生が軽やかになる──これが僕の言いたいことである。

僕は「やめる 」「諦める 」という言葉を、まったく違う言葉で言い換えられないかと思っている。たとえば「選び直す 」「修正する 」といった前向きな言葉だ。そうすれば、多くの人にとって「やめる 」「諦める 」という選択肢が、もっとリアルに感じられるのではないだろうか。

特に印象的だったところ

2つ目で引用しました一節です。

全力でしたことがない人は明らかに目標設定が見合わないものに設定したり、挑戦もせずに諦めたりする傾向があります。

自分の限界は自分が一番わかりますし、他人に限界を決められるのはいい気分ではありません。

まずはどんなことにも全力で挑んでみて、自分の限界値を見つけましょう。

まとめ

そして最後に為末さんは「執着から離れる」ことの重要さについて説いています。

たかが人生、されど人生くらいの気持ちで物事を重く考えすぎないようなスタンスでいるべきとおっしゃっています。

中高生の皆さんも「受験に落ちたら人生終わりだー」「就活失敗したらー」と嘆く人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

今の道が閉ざされたら新たな道を探せばいいだけです。

一見ネガティブなこともポジティブにポジティブに自分で変換していきましょう。

「諦めること」は「明らめる」ことです。

失敗した、できなかったなど悪いことばかりに注目するのではなく、自分にはこれが向いていなかった、だからこっちに力を注いでいくべきだとも気づけます。

個人的な感想

この本はぜひ悩みの多き中高生の皆さんに読んでほしいです。

これからの人生をどういう道に進んでいけばいいのか、どういう選択をすべきなのか、そういう悩みを一掃してくれる一冊になっています。

日本では「続けることが美徳」と賞賛されることがあります。

私「継続は力なり」という言葉を曲がりなりにも信じて生きてきました。

ですので諦める力というタイトルを見ると人はやっぱりネガティブなイメージを持つと思います。

しかし、この本を読めばその諦めることの重要性も見えてくるのではないでしょうか。

本誌にもありましたが、戦略的ではない諦め、挑戦をしていない上での諦めはただの「逃げ」です。

諦めないことで人は成長することができますが、諦めることで新たな可能性を見出すこともできます。

そういう価値観をこの本は教えてくれたと思います。

それでは!